Cさん視点の話

意味なんてないよ

髪の毛の話

さて、知らない人は多分いないと思われますが、僕は結構な天パなんですよね。そして人々はあまり知らないかもしれないですが、寝起きの僕の髪型は結構すごいです。メデューサという例えは別に誇張でもなんでもない。見る人が見たら、僕の空間だけ重力が機能してないかと思うほどでしょう。実は毎日ヘアアイロンで伸ばして毎日劇的ビフォアアフターを果たしてから家を出てるわけです。(だから合宿とか行くとやばい)

まぁそんな僕ですが、さすがに限界を感じて、先日大嫌いな床屋に行ったんですね。もう数学科だからオシャレとか気にする必要ないんですけど、もはや検閲に引っかかりそうな髪だったので意を決して向かったわけです。髪ってなんで伸びるんでしょうかね。

まぁ床屋の店主に最低限の注文をして身をまかせることにしました。「じゃさっぱりさせていきましょうね〜」不穏な予感がしました。店主の手にはバリカン。その数秒後、僕のもみあげは無残に刈り去られたのであった。

店主はやけに自信満々ですが僕には不安でしょうがないというか、その時はもはやなるようになれって感じでした。そして、店主は前髪をまたも無残に切りそろえたあと、頭頂部に取り掛かるわけですね。髪のボリュームを減らして、完成な訳です。ところが店主、首を傾げます。ここで不思議なことが起こってるのです。切っても切っても、髪のボリュームがそのままなのです。なぜなら、短く切られた僕の毛は、自重から解き放たれ、広がりをさらに見せているのです。

こうして店主は手を諦め、鏡の前には、どこぞの韓流スターが誕生したわけです。ただでさえ顔が縦長なのにさらに強調してどないすんねん。僕は不満たっぷりの目で店主を見ましたさ。そしたら店主は目をそらし、「俺のせいじゃねえぞ、お前の髪が悪いんだからな」とでも言いたげです。

こういう経験は結構あります。髪の毛に失敗した理髪師は総じて僕の髪を道端に吐き捨てられたゲ○でも見るかのように見るわけです。そしてまぁ自分でもわかってるわけです。そりゃ俺の髪が悪いさと。そんなこと百も承知だよと。

こういうこというと、ストパにしろだの高い店行けだの言うわけですけどね。別に高い店行ったところでその人が天パの人を切るのがうまいなんてことはないわけで。そういう人ほどそんな髪は処理したことないから、ゴミクズみたいな目で見て来ますよ。うん。それにストパーだってね、将来のハゲへの寿命を削ってるわけですからね。(ストパーの液は普通のパーマ液の何倍も強力で人体に害がある)なんで美容師の利便性のためにそこまでせなあかんねん。(しかも2ヶ月で元に戻るし)

そしてね、ストパに生まれた自分の身を嘆くのですよ。生まれて来てごめんなさいと。

でもこうした形の絶望って世の中にありとあらゆる形で存在してるんじゃないかなぁと思うんですよね。生まれた時から右手がない人、知的発達者の人、自閉症の人、口が臭い人、ブサイクな人、頭の毛を早くに亡くした人、特殊性癖をお持ちの人、同性を好きになってしまった人、見た目がキモオタなのに全くおたくじゃない人、親が犯罪者の人、生まれたら国籍がなかった人。などなど。あげたらきりがないはずです。

そうした人に会った時に、僕は、あの店主のような目はしたくないなぁと思うのです。そして、「君のせいじゃないよ、君に優しくない、この世界が悪いんだよ」「だから生まれてこなきゃよかったなんて言わなくていいんだよ」と、そう行ってあげたいなぁと思うのです。まぁあまり声に出せて伝えられてはいないんだけれども。